一般の方からのリサーチ依頼


質問

はじめまして。 Yahooで検索してお邪魔いたしました。
突然ですが、先日京都の東寺に行ってきたのですが、大日如来についてお尋ねしたいことがあります。 中学の修学旅行のときに、

「菩薩は修業中の身だから、「俗」を表す飾りがいっぱいついている。 如来は悟った人だから、あまり身につけていない」

と聞いたような気がするのですが、大日如来って色々つけていますよね?
東寺のほうは残念ながら修復中で、写真しか見れなかったのですが、栃木の輪王寺でも確かそうでした。 気になってしょうがないので、よろしくお願いします。

  匿名希望(18歳:大学1年)

 

最高顧問の回答

結論から言いまして、本当の理由はよくわからない、というところだそうです。(^_^;)
ただ、
大日如来は他の如来とは異なる性格の如来なので、当時の仏像プロデューサーがこのように特別に姿形を変えてみたのでしょう。 ようするに、菩薩と同じにどうのこうのという話ではなく、「他よりもちょっと派手にしてみたかったの...」ということみたいです...。

「他の如来とは違う」という話ですが、これは仏教がよく取り入れてきた(← 今風に言うと、「パクり」「カヴァーバージョン」ってやつですね(笑)) ヒンズー教の神話が元になっています。

インドの神々の世界では、梵天(ブラフマー)をリーダーとするデーヴァ(天)というグループとアスラというグループに分かれていました。


アスラグループの太陽神ヴィローチャナの息子バリ(ヴァイローチャナとも言うそうです)はとても強くて、アスラとデーヴァの両グループを圧倒して、天界、空界、地界の三界を支配するようになりました。このバリ(ヴァイローチャナ)が、大日如来のモデルだという説があります。このように、大日如来は、「他の仏たちの上にたつ最高の如来」という位置づけなので、特別にああいう格好をしているのでしょうね。

  • ちなみに、インド神話ではこのあとヴィシュヌ神のはたらきで、再びデーヴァのグループが世界を支配するようになりましたとさ。

仏教では、宗派というかお経によって「大日如来」とは呼ばず「毘盧舎那(びるしゃな)如来」とか「盧舎那仏」と呼んでいて、スタイルも違います。密教では大日如来、「華厳経」や「梵網経」の世界では毘盧舎那如来です。

東大寺の大仏さんがそうですね。大仏さんの座っている蓮の花びらには一枚に付き千人の釈迦がいます。これは毘盧舎那如来が化身したものです。その千人が百億人の釈迦に化身してそれぞれの世の中で教えを説いているそうです。んでもって、その花びらが千枚あるそうなので、もう計算する気もなくなるほど(笑)多くの釈迦がいるわけですね。「そこまでしなくても」って感じですよね。(^_^;)

  • ちなみに、東大寺の毘盧舎那如来は「梵網経」、唐招提寺のは「華厳経」の世界をあらわしています。

以上、大日如来と毘盧舎那如来のお話でした。


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10 MAY 1998

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