書名 カラー版
日本仏像史
著者 水野敬三郎
出版社 美術出版社
出版年 2001年5月
ISBN 978-4-568-40061-9
定価 2500円
サイズ A5
読みやすさ ★★★☆☆ 3
(ちょっと字が小さいです)
専門性 ★★★★★ 5
(中級者以上の基礎確認用)
写真多用 ★★★★☆ 4
(有名仏多数。オールカラー)
お手ごろ感 ★★★☆☆ 3
(通勤鞄に入るギリギリのサイズ)
通史徹底度 ★★★★★ 5
(この本を超えた概説書は見当たらず)
最高顧問の書評
  このところ紀行文系の本が続いたので、満を持して、最高顧問一押しの一冊を紹介。「カラー版 日本仏像史」。  仏像の通史を押さえた本としては、個人的にこの本が最高峰に位置していると思います。

  もともと日本の美術シリーズとして刊行されていた「日本美術史」から、ニーズを押さえる形で、仏像史だけを抽出した本です。以前に「日本建築様式史」なども目にしたことがあり、この本が出た時は、ようやく仏像もメジャーになりつつあるのかなぁ、と思ったものでした。
  2001年の出版ですが、8年たった今でも、この本を内容的に超えた総合的な仏像史解説本は出ていないのではないでしょうか。

  水野敬三郎氏はじめ、錚々たる顔ぶれの執筆陣、圧倒的な量と質を誇る巻末参考文献など、学生の時分、この本ほど参考にさせていただいた本はありませんでした。各章に挿まれているコラムや、オールカラーの写真など、よくもまぁこれだけの内容をこれだけコンパクトにまとめたものだと感心させられてしまいます。

  近年、運慶作という可能性が高まった興福寺旧西金堂の木造仏頭を成朝作と推測しているなど、ここ最近で一挙に研究が進んだ部分については遅れている部分もありますので、隅から隅まで信用する、というわけにはいかなくなってきていますが、それでも、完成度は出色の出来。

  プロの仏像研究家にしてみれば当然のような内容なのかもしれませんが、そういう上級者の人がふと基礎を確認するときに開くような、そして、仏像を研究したい、興味を持った人にとっては、まずこの本を読みこなす程度の知識を身につけることがある意味で一つの指標となるような、そんな本なのではないかと思います。そういった意味では初心者にも上級者にもぜひ読んでもらいたい一冊です。
 
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23/AUG 2009

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