第1回に引き続きまして、久野健氏の著作を紹介します。この本も自分が仏像にはまりだしたごく初期に読んだ本です。
前回の「仏像巡礼事典」が仏像そのものの解説書だとしたら、今回のは仏像の作られた時代背景を中心にした、歴史の中における仏像、の概説書といった趣です。
中学〜高校の日本史レベルの知識(奈良時代には聖武天皇が国家政策の中心に仏教をすえていた、貴族の没落とともに武士が台頭してきた、等)があれば、十分に理解できるでしょう。
仏像という、最初はどうしてもとっつきにくい内容でありながら、ですます調の平易な文章で、非常に読みやすく書かれています。
飛鳥時代から鎌倉時代まで、一通りの流れを全部説明するため、中級者以上の方には常識レベルになってしまう内容が多く、また、よく読むと著者の自説の主張が入っているところもちらほら見受けられるのですが、学生時代の自分のように、日本史の全体的な流れと同期して把握したい方にはうってつけ。
「仏像巡礼事典」同様、出版年が古いのですが、重箱の隅をつつくような話は少ないので、さほど気になりません。
本書はあくまで初心者向けですが、仏像初心者だった当時、同氏の著作を読み漁っていた記憶があります。覚えている中では初〜中級者向けとして、「仏像と仏師の話」「秘仏」「仏像」の3冊をよく読んでいたと思います。 |