と、いうわけで、記念すべき第1回目はこの1冊。「仏像巡礼事典」を紹介いたします。
仏像を知らない人、あるいは、これから知ろうとする人に「何を勧める?」と聞かれたら、迷わずこの1冊を勧めます。
本編は2部構成。
第1部は仏像の見方編。尊名の見分け方や持物の解説など、仏像鑑賞の上での基礎知識を代表的な尊像の写真とともに紹介。
第2部は仏像巡礼編。北は北海道、南は九州まで、日本全国の国宝、重要文化財の仏像を寺ごとに網羅した、データベースになっています。
最高顧問はこの本を10年前、仏像にはまった直後に購入。初期のころは見た仏像をすべてこの本でチェックし、塗りつぶしていくことを繰り返していました。最初に買った1冊目は使い込みすぎて損傷がはなはだしくなり、今持っているのは2冊目です。
基礎知識的なことを得ようとするなら、この一冊で、ほぼすべて事足りてしまいそうな印象があります。美術的側面が重視され、信仰的、歴史的な面はほとんど触れられてはいませんが、そういうものだと割り切ってしまえば、これほど頼りになる本はありません。印相の説明、台座、光背の種類別説明などはかなり役に立ちます。サイズも手ごろで、出先に持って行けるのもポイントが高いです。
惜しむらくは、やや出版年が古いこと。
一応、1997年発行ではありますが、これは、データベースの国宝、重文の仏像名を追加したのみにとどまったようで、記述はいじられなかった模様。臼杵の磨崖仏が首が落下したままになっていたり、横浜市戸塚区が分区していなかったり、古い記述が多く見受けられるのが玉に瑕かと。
なお、同シリーズの「歴史散歩事典」も寺院鑑賞の際には必携の一冊。
あわせてお勧めしたいです。 |