国東で隆盛を誇った六郷満山の拠点の1つだった胎蔵寺から山道をおよそ10分ほど登る。
すると、左側の崖に突如現われる2体の磨崖仏が熊野磨崖仏である。磨崖仏の「磨崖仏」たる所以が、ここまでわかりやすい像もないのではないかと。
伝説では養老2年(718)に宇佐八幡の化身、仁聞菩薩が作ったとされているが、史料や作風などから藤原〜鎌倉期の造像とされる。
向かって左側に不動明王像、右側に大日如来像がいる。
不動明王は忿怒の表情は一切見られず、穏やかな表情をしている。藤原期の特徴を踏襲したものだろうか。
全高8m余、奈良東大寺法華堂不空羂索観音の倍以上の大きさである。
大日如来像は腰から下が埋没しているため、立像か坐像かわからない。
というより、そもそも大日如来なのかどうかすら怪しい。大日如来の特徴である宝冠もなければ、印もない、というのだから。あくまで寺伝で大日如来としているだけで、薬師如来と見る向きもある。
行く途中でヘビを踏んづけた。多少山道もあるので、足が悪い方にはおすすめできないかも。
|