「東京国立博物館 国宝展オフ」レポート
会場はオーディエンスの熱気がいっぱい! 薬師如来だって汗だく!大ちゃんもガンバレ!


 ゴールデン・ウィーク初日の上野は、とにかく人、人、人!!
博物館内もすごい混み方で、ロビーはすでにぐったりと疲れきった身体をソファにうずめた人達でいっぱい。じっくり観て、深い洞察に基づく独自の見解を展開しようと思っていたのですが(ウソつけ)、そうもいかない。なので今回は軽〜いタッチで参りましょう!
・仏像の間は一番最後だったので、とりあえずそこへ向かう。書画も興味あるが、それは後回し!(個人的には長谷川等伯の松林図屏風があって感動!)
道成寺の千手観音がまず目を引いた。かなりデカイなあ。ぷくぷくと肉付きの良い腕がキレイで、持物も全部そろってる。さすが国宝。
平安初期の作とあるけれど、天平様式に通じるダイナミックな造りだ。下半身に纏う衣が、床を引きずるほどにたっぷりとゴージャスな装い。金箔がほとんど剥げ落ちたこげ茶色の身体には木目があらわになっている。そう、この下半身はあの
渡岸寺のカリスマ十一面観音と同じテイストなのだ!ただし、この千手観音の顔を見ると、眉毛のあたりの金箔がうまいぐあいに剥がれ落ちて、ゲジゲジ眉毛になっている。それに目がギョロっとしていて、どこかせんだみつおを思わせる。渡岸寺の観音サマの下半身に、せんだみつおの顔の組み合わせという、もうスゴイんだかなんだかようわからん状態...。

・その横には福島県の勝常寺の薬師如来。さすが北国の仏。ぶ厚い衣を着て、髪の毛も伸びたパンチパーマ状態にして防寒対策に余念がない。でもこの人だかりじゃあ、熱気もすごいし、きっと 
 「こんな厚着して来るんじゃなかった...」
と後悔していたに違いない。

・薬師如来の向かいの壁には、あの法隆寺金堂の広目天さんがスペシャルゲストとしていらっしゃっていた! こんなに間近で見られるなんてっ! 
近くで見ると、思ったより大きい広目天。あの百済観音と同じ様式の、アーモンド形の眼を持っているのだが、こちらは眉をひそめてかなり渋い顔をしている。遠くからでは分からなかった表情を見ることができた。しかしさすが、この仏像の部屋で一番の先輩格だけあって、他の仏には悪いけどオーラが違う!やはり1300年仏像やってるだけのことはある!

さらに今回の目玉はこの広目天が踏んでいる邪鬼だ。この邪鬼は前から見るとまるで民芸調のテーブルみたいなのだが、後にまわると、後ろ足を折り曲げておしりを突き出している。言い方が悪いが「ウ○チング・スタイル」っていうやつだ。後方から邪鬼の尻を覗きこんでいると、反対側で同じように尻を覗きこんでいる人がいる。誰かと思ったら慶派専任講師だった。スミマセン、そういう人たちなんです。日仏会関係者って...(^_^;)

・部屋の一番奥には、今回の目玉、円成寺の大日如来がいた。この仏だけブルーのついたてをバックに、他とは違う特別な照明を当ててもらっている。集まる人の多さも特別だ。三十三間堂の造像などで認められた若き運慶が大仏師として初めて仕事したこの仏像。確かに他の仏像とは違う。見事に均整がとれていて、まったく隙が無い。カンペキだ。ただその隙のなさが、同時にある種の窮屈さを感じさせる気もしないでもない。(なんてワガママな発言)。

ただし顔は愛嬌たっぷりだ。張りのある肌に若さがみなぎっている。「大日如来」と言うより、「大日クン」とか「大ちゃん!」と呼ぶほうが似合いそうだ。唇を見ると、上唇がめくれあがっていて、口を尖らしているように見える。大ちゃんは、人の多さに文句を言ってるんだ。
「人が多いブー! 早く京都に帰りたいブー!」
と言ってるのが聞こえて来る。この大日クン、クラスでは「ブーちゃん」ってあだ名をつけられてたと思う。大抵のクラスでは、必ず一人はブーちゃんがいたものだ。

ブーちゃんお疲れサマ! もうすぐ帰れるから、がんばってね!

博物館を出たぼくらは、その後上野の古〜い観光レストラン(店内に人工の池もある)で食事し、居酒屋では専任教授夫人とnatsuさんの天然ボケ対決でおおいに盛り上がりました!(^O^)

文/絵 最高顧問


左から慶派専任講師、最高顧問、専任教授、専任教授夫人、ひなさん
撮影:natsu

日仏会へお便り

7/MAY 2000

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