初めての仏像めぐり 〜今日からアナタも仏像ウォッチャー〜

  いつも、日仏会のホームページをご覧いただき、まことにありがとうございます。このページは仏像に興味があるという人たちを対象に作られました。このサイトを作った我々にとってはうれしいことに、最近、仏像拝観、寺院探訪に興味を持つ人が非常に増えてきています。しかし、実際仏像が安置されている「お寺」というのは初めての人にとって、どうしても、敷居の高いものであると捉えられがちなのが実情です。(ま、実際敷居の高いところもあるんですけどね・・・(笑))

  そこで、日仏会では、これから実際お寺に行って仏像を見てみようという人のために、簡単なマニュアルみたいなものを作ってみました。
  もっとも、私最高顧問にしてからが、本当に正しい拝観の作法なんてものを知り尽くしているわけでもありませんので、まぁ、肩の力を抜いて、覗き見みたいな感じで見てもらえると、と思います。

※ なお、以下に記述される内容について、あくまで「日仏会」流の解釈であることをご理解いただき、必ずしも寺院拝観時にはこのようにしなくてはならない、というものではないことを併せてご承知おきください。



1. お寺を訪れる前に

  とりあえず、この手のマニュアルならば、まずは「持ち物」から入るのが妥当なのでしょうか。で、改めて考えてみたのですが、はっきり言って必ずしも必要なものなどありません。せいぜい、入山時に必要な拝観料くらいのものでしょうか。
・・・とか言ってしまうと身もフタもないので、あえて挙げてみましょう。


◆ 拝観料
  拝観料は、お寺を1日で複数回る場合は少し多めに持っていた方がよいでしょう。相場は1つの場所(寺)につき、200〜600円くらいが一般的ですが、大寺院の場合、お堂ごとに拝観料がそれぞれ設定されてある場合や、複数の拝観料をセットにしてやや高めの値段に設定されている場合があり、注意が必要です。

◆ 脱ぎやすい、はきやすい靴
  続いての「靴」ですが、靴を脱いで堂内に上がり(注:この手のお堂は基本的に鎌倉時代以降に作られたものに多いです。これはどんなお寺でも共通なので、豆知識で覚えておこう!あんまり関係ないですけど、土足で入るのは平安以前、板張りは鎌倉〜室町、畳張りは室町以降、って某寺のお坊さんに聞いたことがあります)、仏像を拝観するケースがしばしばあるためです。それに多くのお堂がある場合はいちいち履いたり脱いだりが、わりと面倒くさいのです。

◆ オペラグラス、または小さめの双眼鏡
  オペラグラス・双眼鏡については、小さな持物を見るときや、やや遠いところにある仏像を見るようなケースがあるので、持っていて損はないと思います。

  とりあえず、このくらい用意してあれば、OKでしょうか。


  あと、たまにこの手のガイドで見かけるのですが、「ペンライトや懐中電灯を持っていると便利」というもの。これについては少々考え物。確かに細かいところや暗いところを見るときに便利は便利なのですが、光が仏像それ自体にとって害があるものらしく、また、隣で一心に祈っている信者の方やお坊さんがいる脇で、仏像を照らしてああだこうだやるのはいかがなものかと思います。仏像を照らす、という行為自体も許容しているところとそうでないところがあるようで(仏像を照らしていたら、お寺の方に注意されているのを見たこともあれば、「じっくりご覧ください」っていう感じで懐中電灯がお寺においてあるところもあった)、一概に良い悪いが言えません。仏像拝観の中に、光の具合、というものまで含めて考えているところもあります。

  あえて結論付けるとすれば、お寺の人に良いか悪いか聞く、というのが正しいと思います。それでOKなら使うべきですし、NGが出たらそのお寺の方針に従いましょう。ただ、このあたりの解釈は難しいところです。


2. お寺に入るときは

  それでは、実際お寺を訪れてみましょう。
  拝観を目的としたお寺の場合、門のところに受付があって、そこで拝観料を払い、そしてお目当ての仏像が安置してあるお堂にあがりこむ、ということになります。ところが、法隆寺や、東大寺クラスの大物寺院になると、仏像が安置してあるお堂や宝物館などが無数に存在し、寺域の広さも手伝って、隅から隅まで見ていたら、それこそ日が暮れてしまいかねません。ですので、費やせる時間と相談しながら、あらかじめコース設定をしておく、あるいは、拝観するのは有名どころのお堂に絞るなど、行く前にある程度考えておいた方がよいかもしれません。

  お寺に入るときはどのようなことに気をつけるべきか、というようなかた苦しいことはこの際抜きにしたいのですが、あくまで常識的な範囲内で行動すればよろしいかと思います。

  あくまでお寺とはお坊さんの修行の場であり、寺の風紀を阻害するような、あるいはお坊さんのお勤めを邪魔するような行為をしなければよいのです。あとは携帯電話を使わないとか、大声を出さないとか、伽藍内での禁止事項(撮影禁止・喫煙禁止など)をやらないとか、なんか中学生の修学旅行の心得みたいですが、昨今の寺院探訪ブームの中で、意外にこの手のことを守らない人が増えてきたようにも感じますので、気をつけたいものですね。



3. ご対面

  仏像を拝観するときは正対し、頭を垂れ、目を閉じ、真言を唱える…などということはワタクシ最高顧問、したことがありません。

  ただし、仏像があくまで信仰を目的として作られたものである以上、それなりの態度で「拝観させていただく」という意識だけは忘れないでほしいものです。仏像を美術品のように見ること自体を嫌うお寺もあったりするのです。堂内で許可なく写真撮影などもっての外です。

(最高顧問の学生時代所属していた団体には「門前の一礼」という風習があって、門前とか、お堂に入るときはとりあえず頭を下げて入ったものである。今考えてみたら、これを強制していたのだから、すごいものだ。習慣とは恐ろしいもので、いまだにお堂に入るとき、一瞬足が止まる(苦笑))


  仏像をどう見るか、これについては人それぞれ目的があるでしょうから、ここにああだこうだ書くつもりはありません。美術品として見てもよし、歴史の証左として見てもよし、何かをお願いしに祈るもよし、有名人を実際に見るような、そんな見方もありでしょう。(←なお、日仏会では最後の視点を大事にしております!(^.^))

  なお、たまにいるのですが、ちょっとしたガイド気取りで、仏像を前にして大声でウンチクをしゃべる人がいたりします。何時代の、なんという仏像で、自分の感想ばかり言っているような人を稀に見かけます。私自身は迷惑とは言いませんが、仏像を信仰心から見に来ている人は、こういった存在を快く思ってはいないようです。彼氏、彼女にちょっとした仏像トリビアを披露したいときは、できれば小声ですることをお勧めしたい(笑)

  ちょっと気に入った仏像を見つけたら、それこそ目に焼き付けるような、そんな想いをもって見つめてみてください。もっとも、良いと感じた仏像には自然と目がいくものなのですが。意外と、有名な文化財指定の仏像には目が行かず、それまで見たことも聞いたこともないような無名の仏像に惹かれるようになってしまうこともあります。気づいたら待ち合わせの時間をとっくに過ぎているなんてことも・・・?
  こんなこともよくあるので、仏像拝観には時間を充分割いたほうが良いですね。



4. 後始末

  さて、一通り、仏像や伽藍を拝観し終わりました。
  最高顧問はお寺を出る際に、その寺で見た仏像のことを頭の中で一度思い出すようにしています。「一期一会」という言葉もありますが、一度見て、それでおしまい、というのもなんだか寂しいもので、お気に入りの仏像が見つかったのに、伽藍を出たら途端に忘れた、というのでは見に来た楽しみが半減してしまうと思います。こういうことをすると、意外と記憶に残るものなんです。

  大きなお寺ではかなりの数の仏像を見ることがあります。いちいちすべての仏像の名前と顔を一致させるのは至難の業ですので、一番気に入ったのだけでも良いのではないでしょうか。まぁ、あくまでこれは参考なのですが・・・

  これで一通り、終了です。最後に山門をくぐる際、受付の方に一礼をし、お寺を後にします。
  最後まで、「拝観させていただいてありがとうございました」的な気持ちを忘れないこと、日仏会では仏像を有名人的な視線で見つつも、仏像に対する信仰に敬意を払うことも忘れないように皆様にお願いしたいと思っています。

  そして、気に入った仏像、自分が見て感動した、衝撃を受けた仏像をどうにかして世間一般にも知らしめたい、そんなときはぜひ日仏会に投稿しましょう(笑)掲示板に書くのもよし、最高顧問にこっそりメールを送るのもよし、です。

  貴方の一筆がこのサイトを見てくださっている誰かに、新たな仏像との出会いのきっかけを生みます。おたより、お待ちしています。

日仏会へお便り

リサーチ部門トップへ

日仏会トップページへ

8/APR 2005

inserted by FC2 system